涼音が今度こそ立ち上がり怒鳴る。 多透は右頬を押さえて少し唸った。 「や、麗音って、殴ってくれって言っても殴らなそうだからてめえで殴っといた」 「そんなセルフはいらん! ちょ、冷やすもの取って来る! 問題起こすなよ!」 涼音は石段に置いてあるつっかけに足をかけ、母屋に飛んで行った。 麗音は、多透のいきなりの行動と言葉の意味がわからずに、呆然と涼音を見送った。 それからそろりと多透を見る。