月下美人ー親友以上恋人未満は、運命じゃない二人ー【完】



更に制する声がかかった。



「遅いじゃないか」
 


景周が不機嫌な声を出すと、麗音は軽く頭を下げた。



「すいません。漣の練習に付き合ってました」
 


そのまま指をひっかけて靴を脱ぎ、麗音が道場に入って来る。



見上げている多透に、色のない瞳を向けた。




「…………久しぶり、波間」
 



麗音がやや緊張しながら挨拶した。
 



多透はぐっと顔を強張らせると、答える前に自分の横っ面を殴った。


え。


「何してんだお前!」