涼音が麗音を指して『友達』と言ってくれるたびに嬉しくて泣きそうになって、たまに泣いて、涼音にしがみついている。



涼音はこう……ぎゅっと? ではなく、肩回りに手を置いて泣きつくくらいは許してくれる。




毎回『落ち着け』と諌められるけど。
 



麗音の中にもある程度境界線はある。



ぎゅっと、という抱き着き方は、恋人がするものだと思う。
 


麗音自身の環境ゆえ恋人を目の当たりにしたことはないが、本とか読んでいてぎゅうっと抱きしめているのは大概が恋人だ。




苺花のように女子同士で抱き着いているのもあるようだが、麗音は男子なので関係ない。




漣に抱き着こうなんて、その文字を頭に浮かべてだけで吐き気がする。



絶対ない。俺は日本人。
 




――涼音は、甘えさせるのは得意だ。