麗音の顔が前髪に隠れる。 「あの家で俺のこと、名前で呼ぶの兄貴だけなんだ。 ……兄貴がいなかったら、俺、麗音ですらいられなかったから……」 大事なんだ。 お兄さんが。 捨てられないのは、そのたった一人。 家なんかよりも大事。 でもその人が麗音にかけた願いは、大嫌いな家を護ること。 ……逃げたくも、なるよなあ……。 「麗音、手ぇ出して」