「それは、きついね……」 「うん。きつい。兄貴以外の誰がどうなっても知ったこっちゃないけど、兄貴の願いは叶えてやりたいとか思っちゃう。 兄貴にお願いされたら、俺、断り切れない……」 「………」 「それで、あんとき山の中に逃げた。ただ、あの家から離れたかった……」 「……麗音」 「名前も」 遮るように、少し険しい声音だった。