麗音は元気よく帰って行った。 涼音も手を振り返す。 麗音の姿が夜闇に紛れて、力なく下がる右手。 麗音はもうすぐ、元気がなくなる。 ……今まで、そういう環境で生きていたんだ。 どうしてあんなに明るいんだろう。 どうしてあんなに優しいんだろう。 たぶんきっと、麗音の事情は心を失っていたかもしれない環境。 ――それなのに。