さっきまでどこかの淵でも歩いているみたいに頼りない気持ちだったのに、 少年が月の下に現れてから、涼音の何かが軽くなった気さえする。 「名前は?」 「りお」 「りお? マジで? すげー、俺、れお」 「一字違い?」 「うん。りお、漢字何て書くの? 俺は――……えっと、れい、れい……」 「麗しい、の『麗』?」