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ドラゴン、レベル999。
攻撃力9999。
防御力9999。
魔法攻撃力9999。
魔法防御力9999。


「因みに、HPは?」

「9999だ」

「カンストのドラゴンじゃないですか!」


「レベル500までは普通に育てられたが、それ以降は特に秀でた特殊能力も覚えないとプレイヤーにバグでカンストされた。プレイヤー母は、とりあえず数字が大きい我が輩を除外したようだが、愚か者め。プレイヤーは、またバグで我が輩と同じドラゴンをキャラメイクしただろうよ」

「違法ドラゴンですね!」

「その呼び方はやめてもらおうか。我が輩の名は、トライアグルだ」

「トライアングルさん」

「『ン』はいらん!邪魔だ、消せ!と、ら、い、あ、ぐ、る!三角如きと我を一緒にするな!」

「でも、言いづらいですね。トライアグル、トライアングル……アグアグさん?」

「どこをどうしてそうなった」

「大きな口ですから、物を食べるとき、あぐあぐと豪快に食べそうで。だ、だめですか?」

「ふ、ふん!ま、まあ、我が輩は心も器も広いドラゴンダカラナ。ソレグライ許してやろう。き、貴様の名も聞いてやらんでもないぞ?」

「え、私は、レキです」

「ほう。じゃ、じゃあ、レキレキとか……」

「あっ、アグアグさん!村が見えてきました」

地平線の彼方に、初めて緑以外の物を目にした僧侶レキは、はしゃぐ。

ドラゴンのトライアグルに、村まで案内してやるとここまで来たわけだが。

「あそこが、除外されたキャラが集う村なんですね。アグアグさん?どうしました?何だか、顔が赤いような……状態異常ですかっ」

「ならん!我が輩は、全状態異常を防ぐミスリルの指輪が装備されているからな!」


「え、指輪なんかどこにも」

「装備品がキャラの見た目に反映されないゲームだから、そこは触れてやるな!ともかく!後は、貴様一人で行け!我が輩は、空中散歩の続きをする!」

そっぽを向くドラゴン。羽をばたつかせて、飛ぶ準備をしているが、ちらちらと、レキに視線を送る。

「ま、また、レベル上げ目的のスライムが出てくるだろうが!一人で倒せよ!物凄く危険なウルフも出てくるかもしれんが、決して我が輩に頼るな!わ、我が輩もヒマデハナイカラナ。き、貴様風情に付き合う時間なぞない!」

「そ、そんな、アグアグさん。ついてきてくれないんですか……」

「貴様みたいなお気楽では、宝箱開けたらモンスターの奴に一撃で倒されるだろうな。そ、そんな阿呆と付き合うなどバカバカしい。バカバカしいが、貴様がどうしてもと言うなら」