昼休み。
杏奈、勇吾、光子の3人は、体育館裏に集まった。

「それで、池上くん、願いはどうだったの?」

光子がきくと、勇吾が胸ポケットから、紙切れを1枚取り出した。

「なに、これ?」

杏奈と光子が、のぞきこむ。

「小切手だよ」

勇吾が、自慢気に答えた。

わっ、0がたくさんついてる……。

杏奈は、目で0の数を数えた。

「ええっ、300万⁉︎」

杏奈は、大声をあげてしまった。
光子は、手を叩いて、喜ぶ。

「すごいじゃない。池上くん、一体どうやって、こんな大金を手に入れたの?」

目を輝かせる杏奈たちに、勇吾は昨晩の出来事を教えてくれた。

偶然拾って、交番に届けたボロボロの腕時計が、佐山グループの社長が大事にしていた祖父の形見で、そのお礼にもらったという。

「佐山グループってすっごく有名だよね! やっぱり、マリア様のおかげなのかな?」

杏奈は興奮で、汗ばむ手をすり合わせる。

「当然でしょう。マリア様は全知全能の神様ですもの」

光子が、胸を張る。使い人として、誇らしい気持ちなのだろう。