「当たり前です。祖父の形見の品は、いくら大金を出しても2度と手に入らないのですから。本当にありがとうございました。それでは、私はこれで失礼します」

警察官から、腕時計を受け取った佐山は、深く頭を下げる。
そして、着たときと同じように颯爽と黒い外車に乗りこんだ。

勇吾は信じられない思いで、いつまでも小切手を見つめていた。