「しかし、帰宅してから、腕時計を落としてしまったことに気付いて……。飛行機の時間が迫っていたので、探すこともできず、先ほどようやく帰ってこられたのです。
はたから見たら、ガラクタでしょうから、捨てられていないか心配していたのですが、本当に良かった」
佐山が目を潤ませていた。
それを見て、父の教えを守り、ちゃんと交番に届けて良かった、と勇吾は思った。
「お礼をしなくてはいけませんな。おい、君」
メガネの男が、さっと紙の束を取り出す。どうやら秘書のようだ。
紙の束の1枚に、佐山がスラスラと万年筆で書く。それをちぎって、勇吾に両手でわたしてきた。
「これは、ほんの気持ちですが、受け取ってください」
差し出されたのは、小切手だった。思わず0の数を目で確かめてしまう。
300万……300万!?
勇吾は仰天して、声も出なかった。
「うわっ、すごい」と警察官が色めき立っている。
「こんなに、いいんですか?」
勇吾は、ようやくそう言えた。
はたから見たら、ガラクタでしょうから、捨てられていないか心配していたのですが、本当に良かった」
佐山が目を潤ませていた。
それを見て、父の教えを守り、ちゃんと交番に届けて良かった、と勇吾は思った。
「お礼をしなくてはいけませんな。おい、君」
メガネの男が、さっと紙の束を取り出す。どうやら秘書のようだ。
紙の束の1枚に、佐山がスラスラと万年筆で書く。それをちぎって、勇吾に両手でわたしてきた。
「これは、ほんの気持ちですが、受け取ってください」
差し出されたのは、小切手だった。思わず0の数を目で確かめてしまう。
300万……300万!?
勇吾は仰天して、声も出なかった。
「うわっ、すごい」と警察官が色めき立っている。
「こんなに、いいんですか?」
勇吾は、ようやくそう言えた。

