すると、白髪頭の男性が、ガッと力強く勇吾の両肩をつかんできた。
「君が拾ってくれたのですか。なんとお礼を言ってよいのか……」
「はあ……」と勇吾はとまどっていた。
一体なぜ、あんなボロボロの腕時計が見つかっただけで、こんなに興奮しているのか、さっぱりわからない。
「申し遅れました。私、こういう者です」
白髪頭の男性が、胸ポケットから取り出した名刺を、勇吾にわたしてきた。
名刺なんてもらうのは、もちろん初めてだった。
【佐山喜一 SAYAMA代表取締役】
のぞきこんできた警察官が、ええっ、と大声をあげる。
「SAYAMAってあの、自動車会社の佐山ですか?」
佐山とは、日本で1番大きな自動車会社だ。
代表取締役ってことは、この人は社長ということか、と勇吾は名刺と見比べていた。
「ええ、そうです。この時計は佐山グループを一代で築きあげた私の泣き祖父が残した形見の品です。
祖父は、いつもこの腕時計をして、仕事をしており、ゆずってもらってから、普段は大事に保管してあるんですが、今日は社運をかけたプロジェクトがあり、お守り代わりにポケットに入れ、日課のジョギングをしていたんです」
佐山が、ボロボロの腕時計を指先でそっとなでる。
「君が拾ってくれたのですか。なんとお礼を言ってよいのか……」
「はあ……」と勇吾はとまどっていた。
一体なぜ、あんなボロボロの腕時計が見つかっただけで、こんなに興奮しているのか、さっぱりわからない。
「申し遅れました。私、こういう者です」
白髪頭の男性が、胸ポケットから取り出した名刺を、勇吾にわたしてきた。
名刺なんてもらうのは、もちろん初めてだった。
【佐山喜一 SAYAMA代表取締役】
のぞきこんできた警察官が、ええっ、と大声をあげる。
「SAYAMAってあの、自動車会社の佐山ですか?」
佐山とは、日本で1番大きな自動車会社だ。
代表取締役ってことは、この人は社長ということか、と勇吾は名刺と見比べていた。
「ええ、そうです。この時計は佐山グループを一代で築きあげた私の泣き祖父が残した形見の品です。
祖父は、いつもこの腕時計をして、仕事をしており、ゆずってもらってから、普段は大事に保管してあるんですが、今日は社運をかけたプロジェクトがあり、お守り代わりにポケットに入れ、日課のジョギングをしていたんです」
佐山が、ボロボロの腕時計を指先でそっとなでる。

