母は、今日夜勤のため、冷蔵庫には、ラップをかけられたチャーハンと中華スープが入っていた。
忙しいのに母は必ず、夕飯を作っていってくれる。

うまく言葉にはできないが、勇吾はいつも母に感謝していた。

勇吾は、チャーハンを電子レンジで温めている間に、マグカップに麦茶を入れた。
小学6年生のときに、杏奈からもらったサッカーのマグカップ。勇吾は、ずっと大切に使い続けていた。

このマグカップもだいぶ古くなってきたな。割れませんように。

そんなことを思いながら、熱々のチャーハンを食べる。

あっという間に平らげた勇吾は、手早く食器を洗った。
タオルで手をふくと、自分の財布を確認してみる。
しかし、千円札が3枚入っているだけだ。

「なにも増えてねーじゃん」

勇吾は、ため息をつきながら、ソファに寝転ぶ。

一体どうやって、金が入ってくるのだろうか。
夏休みに気まぐれで買った、ハッピーサマー宝くじが当たったりして……とあれこれ妄想をふくらませる。

夏休みの間は、短期のバイトをいろいろとしていたが、思ったよりも稼げなかった。
本当に、マリア様が願いを叶えてくれればいいのだが……と少しばかり不安に思う。

ぼんやり考えていると、むしょうにのどが渇いてきた。