勇吾と一緒に帰るなんて、何年振りだろう
足取りが軽くて、そのまま空までスキップしてしまいそうだ。

でも……。

杏奈は隣を歩く勇吾をそっと見た。

なにを話せばいいんだろう。えーっと、えーっと……。

いろいろ考えた杏奈は、謝りたいと思った。
不良になった勇吾が変わってしまったと思い、離れてしまったことを。

「あのっ」
「あのさっ」

杏奈と勇吾は同時に話を切りだそうとした。

「あ……杏奈から言えよ」

勇吾が、ゆずってくる。

「う、うん。あの、そのゴメンね。勇吾が辛い時に、優しい言葉のひとつもかけなくて……。本当にゴメン。勇吾は変わってしまったと思って、離れてしまっていたけど、でも勇吾の心はなにも変わっていないって、ようやくわかったの」

杏奈は涙ぐみながら、謝った。

「……杏奈が悪いんじゃない。悪い奴らとつるんで、バカやっているときだけ、父さんが死んだという現実を忘れることができたんだ。みんなに心配をかけていたことにも気づいていた。
だから、おれが自分で杏奈を遠ざけていたんだ。
杏奈は優しいから、おれが苦しんでいると、杏奈も同じように苦しんでしまう。
そう思ったから……。
杏奈が悲しそうにしているのは、見たくなかった……だけど、結果的には、離れてしまったことで、杏奈を悩ませていたんだよな。悪かった」