「なにこれ?」と受け取ったそれを、まじまじと見る。
「開けてみて」と勇吾が促してきたので、袋を開けてみた。
「わあっ」と杏奈の顔に笑顔が広がる。
出てきたのは、銀色の十字架のネックレスだった。
手のひらにのるほどの大きさで、十字架の真ん中にキラキラと輝くダイヤのような石がはめこまれていて、とてもかわいい。
「昨日、家族でドライブに行ってきたんだ。帰りのドライブインで見つけて、杏奈に似合うと思って」
勇吾は、人差し指で頬をかきながら、言った。
杏奈は、うれしくて、手のひらの十字架のネックレスをじっと見ていた。
「勇吾、ありがとう。大切にするねっ」
「おれこそ、ありがとう。すっげーうれしい」
見つめ合って笑うふたりに、ひらひらと雪が舞い落ちてきた。
「あっ、雪だよ。勇吾」
「ほんとだ。ホワイトクリスマスだな」
ふたりは、空を見あげていた。
幼なじみという関係から、一歩踏み出し、お互いのことを意識しだした日だった。
――清らかで純粋な思い出。心によみがえるたびに、ぎゅうっと抱きしめたくなる。
しかし――その翌日に、あの胸を引き裂くような悲しい出来事が起きてしまい、勇吾は変わってしまった……。
サッカーが大好きで、にっと歯をのぞかせて笑う勇吾は、今はどこにもいない。
十字架のネックレスは、今も大切に引き出しにしまってある。大切にしすぎて、ほとんど身に付けたことがなかった。
そんなことをぼんやり考えていると、すでに日付が変わっていた。
慌ててベッドに横になる。
しかし、先ほど久々に見た勇吾の横顔が、脳裏に焼き付いて、なかなか寝付けなかった。
「開けてみて」と勇吾が促してきたので、袋を開けてみた。
「わあっ」と杏奈の顔に笑顔が広がる。
出てきたのは、銀色の十字架のネックレスだった。
手のひらにのるほどの大きさで、十字架の真ん中にキラキラと輝くダイヤのような石がはめこまれていて、とてもかわいい。
「昨日、家族でドライブに行ってきたんだ。帰りのドライブインで見つけて、杏奈に似合うと思って」
勇吾は、人差し指で頬をかきながら、言った。
杏奈は、うれしくて、手のひらの十字架のネックレスをじっと見ていた。
「勇吾、ありがとう。大切にするねっ」
「おれこそ、ありがとう。すっげーうれしい」
見つめ合って笑うふたりに、ひらひらと雪が舞い落ちてきた。
「あっ、雪だよ。勇吾」
「ほんとだ。ホワイトクリスマスだな」
ふたりは、空を見あげていた。
幼なじみという関係から、一歩踏み出し、お互いのことを意識しだした日だった。
――清らかで純粋な思い出。心によみがえるたびに、ぎゅうっと抱きしめたくなる。
しかし――その翌日に、あの胸を引き裂くような悲しい出来事が起きてしまい、勇吾は変わってしまった……。
サッカーが大好きで、にっと歯をのぞかせて笑う勇吾は、今はどこにもいない。
十字架のネックレスは、今も大切に引き出しにしまってある。大切にしすぎて、ほとんど身に付けたことがなかった。
そんなことをぼんやり考えていると、すでに日付が変わっていた。
慌ててベッドに横になる。
しかし、先ほど久々に見た勇吾の横顔が、脳裏に焼き付いて、なかなか寝付けなかった。

