その夜。
杏奈は電気を消して、ベッドに寝転んでいた。

なんだか、今日はいろいろあって疲れたから、早く寝よう。

そんなことを思いながら、うとうとしていた。

すると、突然雷が落ちたように、まぶたの裏に閃光が、走った。
その瞬間、杏奈の目がカッと開く。

体の疲れも、感じず、目がどんどん冴えてくるのがわかる。

なにこれ……と最初はとまどったが、ある衝動が、腹の底から沸き上がってきた。

書きたい、ケータイ小説を書きたい‼︎

こんなにも、激しい創作意欲に襲われたのは、産まれて初めてのことだ。

勉強机のイスに座り、もどかしい気持ちでケータイを操作して、マイページから、編集画面へと進む。

頭の中で、まるで映画でも上映されているかのように、優等生くんの裏の顔⁉︎の続きが、思い浮かんでくる。

杏奈は、それをただ文字にして打ちこむだけで、良かった。
右と左の指を駆使して、文章を打っていく。

次第にペースがあがっていき、１ページを書きあげるのに１分を切っていた。

杏奈はまばたきをすることさえ、忘れて、小説を書き進めながら、さらに以前書いたページの修正までしていた。

午前３時前に、優等生くんの裏の顔⁉︎は、完結した。５００ページを超える大作となっていた。

完結ボタンを押すと、急にまぶたが重たくなってきて、机に倒れ込むようにして、杏奈はそのまま眠ってしまった。