その時、杏奈は初めて気付いた。
勇吾のことが好きだということに。
それまで、あまりにも身近な存在だったので、そのことに気付いた杏奈は戸惑ってしまった。
――勇吾の特別な存在になりたい。
そんな気持ちも、ふつふつとわきあがってきていた。
杏奈はおこづかいをため、勇吾へのクリスマスプレゼントに雑貨屋でマグカップを買った。
サッカーボールやユニフォームが描かれたマグカップで、朝から晩までサッカーをしている勇吾にピッタリだと思ったからだ。
クリスマスの夕方、キレイにラッピングしてもらったプレゼントを手に、杏奈はドキドキしながら、勇吾の家のチャイムを押そうとしていた。
すると、勇吾が、ガチャリとドアを開けて出てきた。
まだチャイムを押していないのに、なんで、と杏奈はかたまってしまった。
ふたりは、無言で顔を見合わせていた。
「あの、これ……」
杏奈は勇気をふりしぼって、プレゼントを渡した。
「クリスマスプレゼント……だよ」
なんだか、照れくさくて、どんどん声が小さくなってしまう。
「おれに?」と勇吾がおどろいている。
顔が赤くなっていることが、ばれないように杏奈は何度もうなずいた。
にっ、と勇吾が白い歯を見せて笑った。小さいときから、変わらない笑い方。
「サンキュー。実はおれも杏奈に渡す物があるんだ」
そう言って、白い小さな封筒を差し出してきた。
勇吾のことが好きだということに。
それまで、あまりにも身近な存在だったので、そのことに気付いた杏奈は戸惑ってしまった。
――勇吾の特別な存在になりたい。
そんな気持ちも、ふつふつとわきあがってきていた。
杏奈はおこづかいをため、勇吾へのクリスマスプレゼントに雑貨屋でマグカップを買った。
サッカーボールやユニフォームが描かれたマグカップで、朝から晩までサッカーをしている勇吾にピッタリだと思ったからだ。
クリスマスの夕方、キレイにラッピングしてもらったプレゼントを手に、杏奈はドキドキしながら、勇吾の家のチャイムを押そうとしていた。
すると、勇吾が、ガチャリとドアを開けて出てきた。
まだチャイムを押していないのに、なんで、と杏奈はかたまってしまった。
ふたりは、無言で顔を見合わせていた。
「あの、これ……」
杏奈は勇気をふりしぼって、プレゼントを渡した。
「クリスマスプレゼント……だよ」
なんだか、照れくさくて、どんどん声が小さくなってしまう。
「おれに?」と勇吾がおどろいている。
顔が赤くなっていることが、ばれないように杏奈は何度もうなずいた。
にっ、と勇吾が白い歯を見せて笑った。小さいときから、変わらない笑い方。
「サンキュー。実はおれも杏奈に渡す物があるんだ」
そう言って、白い小さな封筒を差し出してきた。

