翌週……。
あれから、ケータイ小説の執筆も思うように、進まず、杏奈の心はずっと曇り空のようだ。

それと、もうひとつ気になっていることがあった。
あの日から、光子が学校を休んでいることだ。

まさか、あの古ぼけたトイレで、なにかに取り憑かれたのでは……そんな恐ろしい考えが、杏奈の頭から離れない。

「あの汚デブがいないと、涼しくて快適だわ〜」

詩織は、いじめがばれかけて、怯えていたことなんて忘れてしまったように、意地悪く笑っていた。

いや、光子が学校に来ないのは、やっぱり、いじめが原因だろう。なにせ草や土を食べさせられたりしたのだから。そう、杏奈は思い直す。

光子と、ほとんど会話をしたことがなかったが、杏奈は心配していた。
他のクラスメイトたちは、気にもとめていないようだった。

もうすぐ、ホームルームが始まるという時、ざわつく教室にひとりの女子が、颯爽と入ってきた。

サラサラの長い髪をなびかせた見たことのない女子で、クラス中の視線が集まる。
女子はモデルのように細く、スタイル抜群で、杏奈も思わず見惚れてしまった。