えーっと、と蓮希が目を泳がせる。
「山根が、腹が痛いって、ここに入っちゃって。みんな心配で待ってるんです。だから、山根待ちです」
そう、とっさにウソをついていた。
すぐばれるウソをつくなよ、と言いたげな顔をして、詩織が蓮希をひじでこづく。
「山根が中に? おーい、山根! ここは立ち入り禁止だぞ、すぐに出て来い!」
春山が、入口から呼びかけるが、反応はない。
その間、詩織と蓮希は明らかに落ち着きがなかった。
一方、一花は相変わらず、人形のような感情のない目をしている。
「山根、どうしたんだ? 中でなにか……あったのか?」
春山の声が震えている。ジャージをはいた足も、小刻みに震えていた。
怖いものなしというイメージの春山が、こんなに怯えているなんて。
先ほど、蓮希が話していた通り、このトイレは本当になにかあるのかもしれない、と杏奈は一歩後ずさりをした。
春山が意を決したように、ロープをまたごうとしたときだった。
ガチャリとドアが開く音がして、光子が出てきた。
みんなが勢揃いしていることに気付いた光子は、両手を後ろに、さっと隠した。
「山根が、腹が痛いって、ここに入っちゃって。みんな心配で待ってるんです。だから、山根待ちです」
そう、とっさにウソをついていた。
すぐばれるウソをつくなよ、と言いたげな顔をして、詩織が蓮希をひじでこづく。
「山根が中に? おーい、山根! ここは立ち入り禁止だぞ、すぐに出て来い!」
春山が、入口から呼びかけるが、反応はない。
その間、詩織と蓮希は明らかに落ち着きがなかった。
一方、一花は相変わらず、人形のような感情のない目をしている。
「山根、どうしたんだ? 中でなにか……あったのか?」
春山の声が震えている。ジャージをはいた足も、小刻みに震えていた。
怖いものなしというイメージの春山が、こんなに怯えているなんて。
先ほど、蓮希が話していた通り、このトイレは本当になにかあるのかもしれない、と杏奈は一歩後ずさりをした。
春山が意を決したように、ロープをまたごうとしたときだった。
ガチャリとドアが開く音がして、光子が出てきた。
みんなが勢揃いしていることに気付いた光子は、両手を後ろに、さっと隠した。

