以前は、金曜の夜は楽しくてしょうがなかった。
土日と2連休なので、夜更かしをしてケータイ小説を書いたり、読んだりして、好きな時間に寝起きして……。

しかし、今はなにもかもが色あせてしまい、ひどく無気力だった。
他のみんなもそうなのだろう。

杏奈は、机の引き出しから、十字架のネックレスを取り出し、ぎゅっと握りしめた。
勇吾は、杏奈のことをなにひとつ責めてこない。
それが逆に杏奈には辛かった。

もう枯れ果ててしまったはずの涙で、視界がじんわりとにじむ。
杏奈は声を押し殺して泣いた。

どうして、こんなことになってしまったんだろう……。
私はただ、人気作家になりたくて……そして勇吾に幸せになってもらいたかっただけだったのに……。

結局、呪いを解くすべも見つからず、どうしたらいいのか皆目見当もつかない状態が続いている。

机につっぷして、どれくらい経っただろう。
ベッドに放り投げていた携帯電話が、メールを受信した。

まさか……と思い、急いで携帯電話を開く。

【mitsuko.1214……】

このアドレス、光子からのメールだ。
杏奈は心臓を吐きだしそうになりながら、メールを読む。