それから、地獄の日々が過ぎていった。

金曜の夜、杏奈はぼんやりと自室の勉強机の前にいた。

作品を非公開にして、一安心と思っていた杏奈だったが、なんとケータイ小説の感想などを書く別サイトの掲示板に、【優等生くんの裏の顔!?盗作疑惑を考えよう】というスレッドが作られていたのを発見してしまった。
スレッドは、誹謗中傷の嵐で、読んでいると胃がキリキリと痛くなってくるほどだった。

勇吾の家には、見るからに柄の悪い取り立て屋が、毎日のように訪れていた。
勇吾たちは居留守を使って、対処しているようで、それに腹を立てた取り立て屋たちが、聞くに堪えない、罵詈雑言を吐き散らしており、近所中のウワサになっていた。

杏奈の両親も、とても心配していたが、お金のことなのでどうすることもできず、ただ見守ることしかできなかった。

伸二郎は、数学の小テストで0点を取ってから、学校に来なくなってしまった。
教師たちに、勉強のことで褒められていた分、文字が書けなくなってしまったという落差に耐えられなかったのだろう。