夏休み最後の夜、クーラーのきいた涼しい部屋で、石森杏奈は、携帯電話を片手に、せっせと執筆していた。

「はー、今日は5ページも書けた! がんばったなぁ」

笑いながら、大きく息をつくと、ポニーテールが揺れていた。

杏奈は高校生になってから、ケータイ小説を書き始めた。
書いている作品は、主に甘々系の恋愛小説。恋愛小説は、読むのも書くのも大好きだ。

恋愛以外の作品も書きたいという気持ちがあり、最近はネタ探しばかりしている。
今日は、人体の摩訶不思議スペシャルという2時間番組が、テレビであったので夢中になってみていた。
タイトル通り、人体に関する不思議なことを取りあげた番組で、妊娠中の女性に起きた信じられない出来事や、原因不明の病気など、再現ドラマでわかりやすく作られており、いろいろと勉強になった。

ちなみに、今回2作目となる執筆中の恋愛小説、【優等生くんの裏の顔!?】は、かなりの自信作だ。

流行のテーマをいくつもつめこんでいるし、この夏休み中、1日も休むことなく毎日書くことができていた。
完結まで、あと半分というところだ。