杏奈が泣きそうな声できくと、勇吾はスッと視線をおとした。

やっぱり……杏奈は、うつむいた。

「そのことで、今から学校に集まろうということになったんだ。なにがあったか、みんなで1度話そうと。それを杏奈に言いに行こうとしてたんだよ」

だから、制服を着ていたのか、と杏奈はやっとわかった。
さすがに、休みとはいえ、学校に私服で入るわけにはいかない。

「待って、私も今すぐ着替えてくるから」

杏奈はいったん家に戻り、慌ただしく制服に着替えた。

ふたたび家を出て、勇吾とともに学校へ向かう。
なにをしゃべっていいかわからず、重苦しい沈黙がふたりの間に流れていた。


部活動などがあるため、学校の校門は開いており、自由に出入りすることができた。

杏奈たちが、集合場所である自分たちの教室に入ると、すでに一花、詩織、伸二郎がいた。

詩織は、すすり泣いており、伸二郎はうつろな目で参考書を読みあさっている。
一花は、青白い顔で、窓の外を眺めていた。

――みんな、なにか大変なことがあったに違いない。