響太の母に案内され、3階にある個室の病室についた。
戸を滑らせて開けると、真っ白なシーツに横たわった響太がいた。
青白い顔に酸素マスクをつけられており、たくさんのコードが身体じゅうにあり、機械とつながっていた。
その姿を見ているだけで、胸が張り裂けそうになる。

「響太、詩織さんが来てくれたわよ」

母の呼びかけに、響太が薄く目を開ける。
詩織の姿を見つけて、よわよわしい笑みを浮かべた。

「少しだけ、ふたりにしてくれないか?」

糸のように細い声で、響太が母に言う。

「少しだけね」と響太の母は幼子をさとすように言うと、詩織に小さく頭を下げて、病室から出て行った。

「詩織、びっくりしただろ?」

天井を見あげながら、響太が言う。

「ううん、響太が無事で本当に良かった。病気のこと、話してくれたら良かったのに……」

点滴の針がささった響太の手の甲に、詩織はそっと手のひらをのせる。

「詩織、ごめんな……」

「……どうして謝るの?」

詩織は涙を流しながら、きく。