まさか……私が、ふたりに天罰を与えてくれと、マリア様に願ったから、死んでしまったの?

一花は、震える肩を自分で抱きしめ、なんとか落ち着こうとする。

いや、あの時、天罰を与えてくれという願いは、バイク事故という形で叶っていた。

その時、一花は、メールが1件届いていることに気付き、開いてみた。

【†憤怒† 今尚くすぶり続ける怒りと黒い小さな影が、頭の片隅に住みついたあなたの前に、紅に染まった忌まわしい者たちが現れるだろう】

「な、なんなのよ、このメールは」

一花は、眉間にしわを寄せて、携帯電話をベッドに放り投げた。

紅に染まった忌まわしい者たち? 一体なんのことだろうか。

ベタ……ベタ……ベタ……。

考えていた一花は、ハッとした。
窓をたたきつけている雨音に混じって、奇妙な音がしている。

おそるおそるカーテンを閉め切っているベランダがある窓に視線をやった。

ベタ……ベタ……ベタ……。

奇妙な音は、あそこからしている。
一花は、ゴクリとのどを鳴らして、カーテンを勢いよく開いた。