杏奈は、この場から逃げようとしたが、詩織がうでをつかんで、離してくれない。
「一花ちゃん、こいつやっちゃおーよ」
詩織がにやにやと提案する。
一花が、震える杏奈の胸ぐらをつかんできた。ひっ、と杏奈は携帯電話を落とし、息をのむ。
「――なんとか言えよ」
一花から強い力で、引っ張られた時だった。
「おい――やめとけ!」
背後から低い声がしたので、詩織がおどろいてふりむく。
――そこにはポケットに手をつっこんだ勇吾が立っていた。
一花と勇吾が、じっと見つめあう。なにも言わずに、ただ時間が流れていく。
すると、一花が、杏奈の胸ぐらから、パッと手を離した。
「――行こう」
一花は、背を向けて歩き出す。
「えっ、あっ、待ってよ。一花ちゃん」
詩織が慌てて、その後を追いかけていた。
――杏奈の心臓がドクンドクンと痛いほど鳴っている。
一花と詩織が怖かったから? いや違う。久しぶりに間近で見た勇吾に、緊張しているからだ。1学期よりも身長が伸びており、さらにかっこよくなっている。
勇吾は、なにごともなかったように、そのまま杏奈の横を通り過ぎようとした。
目には見えない氷の壁を感じたが、杏奈は決心した。
――話しかけなくちゃ。今しかない。
「一花ちゃん、こいつやっちゃおーよ」
詩織がにやにやと提案する。
一花が、震える杏奈の胸ぐらをつかんできた。ひっ、と杏奈は携帯電話を落とし、息をのむ。
「――なんとか言えよ」
一花から強い力で、引っ張られた時だった。
「おい――やめとけ!」
背後から低い声がしたので、詩織がおどろいてふりむく。
――そこにはポケットに手をつっこんだ勇吾が立っていた。
一花と勇吾が、じっと見つめあう。なにも言わずに、ただ時間が流れていく。
すると、一花が、杏奈の胸ぐらから、パッと手を離した。
「――行こう」
一花は、背を向けて歩き出す。
「えっ、あっ、待ってよ。一花ちゃん」
詩織が慌てて、その後を追いかけていた。
――杏奈の心臓がドクンドクンと痛いほど鳴っている。
一花と詩織が怖かったから? いや違う。久しぶりに間近で見た勇吾に、緊張しているからだ。1学期よりも身長が伸びており、さらにかっこよくなっている。
勇吾は、なにごともなかったように、そのまま杏奈の横を通り過ぎようとした。
目には見えない氷の壁を感じたが、杏奈は決心した。
――話しかけなくちゃ。今しかない。

