冴島は、伸二郎の横に用意された丸椅子に腰かける。

「じゃあ、伸二郎くん、さっそくだけど今日は言っていた通り、漢字のミニテストをしてもらいます。伸二郎くんは急にレベルアップしたから、ちょっと難しめな問題を選んでおいたから」

冴島が、煮しめた弁当のおかずのような色のリュックサックから、筆記用具やプリントを取り出していると、勉強机の片隅に置いていた伸二郎の携帯電話が、メールを受信して震えた。

メールなんて、めったにこないので、伸二郎は気になってきて、携帯電話を開き、メールを読んだ。

【†怠惰† 怠けて堕落したあなたの頭を、窮屈に思った黒い虫たちは、そこから一目散に逃げ出してしまうだろう】

知らないアドレスから、届いたおかしなメールだったので、伸二郎は顔をしかめる。

「さあ、始めようか」

冴島が、お手製のミニテストを渡してきたので、伸二郎は、携帯電話を元の場所に戻しておいた。

ざっ、と問題を見ていく。
こんな問題を解いたって、どうせ満点と毛かは決まっているのに。
プリントを見ていると、先ほど読んでおいたページが写真のように頭に浮かんできた。

伸二郎は、シャーペンを手にした右手を動かそうとする。