昼休み――トイレを出た杏奈は、携帯電話でラブチェリーのサイトを確認していた。

トップ画面のお知らせには、まだ何もコンテストの結果はのっていない。

ああ、早く発表されないかなぁ、と考えていると、ドンッと誰かに肩が当たってしまった。

「あっ、ごめんな――」

携帯電話の画面から、視線をあげた杏奈の口の端が引きつる。

ぶつかった相手は一花だったのだ。凍りつくような冷たい表情を浮かべている。

すると、一花の横にいた詩織が、ギロリとにらみつけてきた。

「ちょっと、あんたどこ見て歩いてんのよ? 一花ちゃんがケガでもしたら、どうするつもりだったの!?」

詩織がねちっこい口調で責めてくる。

「あの、ごめんなさい。よそ見をしていて……」

杏奈は、素直に謝った。しかし、詩織がさらにわめきたててくる。

「そっかぁ~、たったひとりのお友達のケータイとお話していたのねぇ。石森さんってケータイだけがお友達だもんねっ」

詩織のバカにしてきた口調に、杏奈の顔が熱くなる。泣きそうだったので、まばたきをしないように必死だった。

「あ? なににらんできてんだよ、お前!!」

にらんでいると、勘違いした詩織が、大声をあげ肩をつかんで、ゆらしてくる。