杏奈は自室へ入ると、ずぶぬれになった制服と髪の毛をタオルでふいた。

さっきから、不安な気持ちで心が押しつぶされて、どうにかなってしまいそうだ。

部屋着に着替え、制服をカーテンレールにかける。

杏奈は、肺いっぱいのため息をついた。なにか良くないことが起きようとしている気がしてならない。

杏奈は、体操座りをしたまま、部屋の片隅にいた。

どれくらい経っただろう。杏奈はメールの着信音で、我に返った。

携帯電話を開いて、画面を見る。

【mitsuko.1214……】

知らないアドレスからだったので、杏奈はきょとんとしていたが、mitsuko、とあり、これは光子のアドレスだと気付いた。
だが、光子とはアドレス交換をしていなかったので、どうやって杏奈のアドレスを知ったのか、謎だった。

しかし、これで杏奈の心に一筋の光がさしこんできた。

メールを送ってこられたということは、光子は無事だったのだ。
なにか深い訳があって、あそこから立ち去り、身を隠しているに違いない。

明るい気持ちで、メールを読んだ杏奈は、心臓をわしづかみにされたような衝撃を受けた。