一花は、ちらりと、石像のように突っ立っている杏奈を見たが、無言で教室を出て行ってしまった。

「杏奈……」

勇吾が声をかけてきたが、杏奈は、それから逃げるようにポニーテールを揺らして、教室を飛び出た。

――お前らは呪われた。

山根さんがあんなことになってしまったのも、呪いのせいなの?
私も、山根さんのように死んでしまうんだろうか……。

どうしよう、と杏奈は走りながら、涙を流した。傘を忘れてしまい、冷たい雨に打たれる。

大変なことに勇吾を巻きこんでしまった。どうしよう、どうしよう……。

雨の冷たさと、恐怖で、歯がガチガチと壊れたカスタネットのように、歪な音をたてていた。