「ところで、それはなにを読んでるの?」

「ああ、これ? 聖書よ。少しでも、マリア様のお役に立ちたくて、読んでるの。とても、ためになるわよ。石森さんも、作家なら読んでおくべきよ」

光子の持っている分厚い聖書を、ちらりと見て、「うっ、遠慮しとくよ」と苦笑いをして、そそくさと自分の席についた。

携帯電話を開くと1通メールが届いていた。

【ANAN様 こちらは、ラブチェリー編集部です】

へ、編集部⁉︎
編集部から、メールが来るなんてもちろん初めてで、心臓が痛いほど高鳴る。

【ANAN様の作品、『優等生くんの裏の顔⁉︎』を、甘々恋愛特集に掲載したいと考えております。つきましては、200字程度のPR文を送ってください】

杏奈はガッツポーズをした。
ランキング1位になる→特集に掲載される→書籍化。
という流れが明確に見えてきたからだ。

編集部の人も自分の作品を、かなり意識しているに違いない。
早く書籍化されないかなぁ、と杏奈はにやついていた。