やっぱり……と伸二郎はほくそ笑む。

1度、目にしたものは、頭にすべて記憶され、アルバムに収納された写真のように見ることができるのだ。
これがマリア様の力――伸二郎の体は興奮で震えていた。

「すごい、これはすごいぞ!」

つぶやいていた伸二郎は、ふとあることを思った。

1度きいたことは、どうなるのだろうか。
今日、光子が教えてくれたマリア様を呼びだすための十戒を思い出してみる。

すると、脳内で鮮明に光子の声が再生された。まるで高性能のレコーダーのようだ。

伸二郎は、嬉々として、それを数学のノートに書きとめていく。
すべての十戒を書き終えた伸二郎は、あははっ、と大笑いした。

「この力さえあれば、次のテストは学年トップ間違いなしだ!」

もうあの出口の見えない苦行のような勉強をしなくてすむ。

ひゃっほぉ~、と今までにないはしゃぎっぷりで、伸二郎はベッドに飛び乗り、トランポリンのように跳ねまわった。

さらに勉強の邪魔になるからと遠ざけていたソンビを殺していくゲームをスナック菓子を食べながら、日付が変わるまで楽しんだのだった。