伸二郎は問題集を開いた。
この問題は、今日学校で習ったばかりの物だ。教科書やノートを見ないと、解けそうにない。

伸二郎が通学カバンから、教科書を取りだそうとしたときだった。

ビリッと頭に電流が走ったような感覚がして、こめかみをおさえた。

すると、頭に黒板が浮かんできた。それは、まるで写真のように鮮明で、数式が書いてあるのが読めた。

「え……これは……」

伸二郎は信じられない思いで、頭の中の数式と見比べるようにして、問題集を解いてみる。
まるで右手が勝手に動いているように、スラスラといとも簡単に解けてしまった。

念のため、答え合わせをしたが、全問正解している。

思わず感嘆のため息をもらしながら、伸二郎は静かに興奮していた。

もしかして、マリア様のおかげで、どんな問題でも解ける天才になったのでは、と思い、まだ習っていない数式を解こうとしたが、なにも頭に浮かんでこない。

少し考えて、もしかしてと思い、教科書をパラパラとめくって、一通り読んでみた。

ふたたび問題にとりかかる。
すると頭に先ほど読んだ教科書が、またしても写真のように浮かんできた。