――本当にあんなことで、願いごとが叶うのだろうか。
一花の頭は、その疑問でいっぱいだ。
しかし、勇吾はウソをつくような奴じゃない。

そんなことを思いながら、一花は電車をおり、改札口へと出た。
地元の駅は、こぢんまりとしており、改札口もふたつしかない。

その時、一瞬視界に、ド派手なメイクをした女がうつり、一花の全身の血液が冷たくなった。

足早にその場から去ろうとしたが、その女が前に立ちはだかってきた。

――やはり、まどかだった。
1番会いたくない奴だというのに……。
一花は、心の中で舌打ちをする。

「おいおい、先輩に挨拶くらいしろよ。お前礼儀知らねーのかよ、礼儀を!」

くっちゃくっちゃとガミを噛みながら、まどかがさびたロングヘアーの毛先をいじる。

――なにが先輩だよ。ただ1年早く産まれただけのくせに。
一花は、まどかをにらみつけた。

「きゃ~こわ~い。さっすが、目つきが違うわよね~。ひ・と・ご・ろ・し・は~」

小バカにしたような、まどかの口調に、いやその存在そのものに、血が煮えたぎりそうなほど腹が立つ。
それに、こんな奴にぺらぺらと話した元彼直也にも、腹が立ってしょうがない。