詩織が、ごくりとのどを鳴らす音がきこえる。
「……願いごとをして、気持ちが晴れればと思って、一花を選んだんだ」
勇吾は小切手を元の場所にしまいながら、言った。
一花は、やはり人形のような無感情な瞳をしている。
「信じるのなら、さっそくここに座ってちょうだい。マリア様に願いごとをするといいわ」
光子がマリア様の紙を広げる。
一花は、視線だけ動かして、それを見つめた。
詩織は、一花の反応をそっとうかがっている。
一花の人形のような瞳の奥底に、燃えるような怒りの感情が宿っていくのが、杏奈にもわかった。
一花は迷うことなく、イスに座り、10円玉に人差し指を置いた。
「中沢さんはどうするの? さっき言い忘れていたけど、マリア様の話を初めてきいたその日にしか、幸せを分けてもらうことはできないの。どうするの?」
光子に選択を迫られた詩織は、目をきょろきょろと落ち着きなく動かしていたが、小走りで一花の向かいのイスに座った。
小刻みに震える人差し指を、10円玉に置く。
にいっ、と光子が笑う。
「……願いごとをして、気持ちが晴れればと思って、一花を選んだんだ」
勇吾は小切手を元の場所にしまいながら、言った。
一花は、やはり人形のような無感情な瞳をしている。
「信じるのなら、さっそくここに座ってちょうだい。マリア様に願いごとをするといいわ」
光子がマリア様の紙を広げる。
一花は、視線だけ動かして、それを見つめた。
詩織は、一花の反応をそっとうかがっている。
一花の人形のような瞳の奥底に、燃えるような怒りの感情が宿っていくのが、杏奈にもわかった。
一花は迷うことなく、イスに座り、10円玉に人差し指を置いた。
「中沢さんはどうするの? さっき言い忘れていたけど、マリア様の話を初めてきいたその日にしか、幸せを分けてもらうことはできないの。どうするの?」
光子に選択を迫られた詩織は、目をきょろきょろと落ち着きなく動かしていたが、小走りで一花の向かいのイスに座った。
小刻みに震える人差し指を、10円玉に置く。
にいっ、と光子が笑う。

