柚美は気まずそうに俯いた。
「柚美?」
「・・・やめたくないよぉ・・・・・」
柚美の潤んだ瞳から、思い切り大粒の涙があふれてきた。
「いやっ・・・私・・・やめたくない・・・グスン」
「なら今からでも続けるって言いな」
「でもぉ・・・」
「理由は何?」
「・・・忙しくなっちゃう・・・・」
「忙しくなる?」
「・・・もし、私が女優を続けるって言ったら、皆賛成してくれる。
でもぉ・・・忙しくなるから、今日みたいにご飯とか・・・」
「ご飯とか?」
「食べれなくなっちゃうぅ・・・」
「どうして?」
「・・・グスン。
お兄ちゃんは、いつ倒れるかわからないし・・・。
フユは三度の飯より勉強って人で・・・。
妹たちはあぶなかっしくて・・・」
「柚美。
確かに心配かもしれないね。
お兄さんは出来ないかもしれない。
でもフユくんも妹ちゃんたちも、自分たちのご飯は作ると思うよ。
あぶなかっしいって言うけど、妹ちゃんたちはそこまで危なくないと思うよ。
フユくんや妹ちゃんたちのこと、信じてあげれない?」
「ううん・・・信じてるぅ」
「じゃあ任せてみな。
今は危ないし忙しいかもしれないけどね」
「・・・ありがとう、桜田」
「アズミって呼んでよ」
「え・・・?」
「俺は柚美って呼んでいるんだから」
「うん・・・アズミ!」
「良く出来ました」


