「・・・どうでしょうね」
「柚美は少し・・・いや、だいぶ鈍感ですからね」
「悪かったね鈍感で」
振り向くと、柚美が立っていた。
腕を組んで仁王立ちしている。
「柚美、お風呂あがったの?」
「今さっきね。
ところで、私が鈍感だって?」
「そこだけ?聞いていたの」
ハルさんは多分、俺の先ほど話した話のことを言っている。
「そうだけど?
何かマズい話でもしてたの?」
「なら良かった。
頭乾かして早く寝な」
「うん・・・お兄ちゃんもね」
不思議そうな顔をしながら、柚美は再び洗面所のある脱衣所へ向かう。
「良かったですね聞かれてなくて」
「気にしてくれたんですか?ありがとうございます」
「人の過去をむやみに聞いてはいけませんからね」
「そうですね。
ところで、柚美、ハルさんが鈍感って言ったの気にしませんでしたね」
「忘れっぽいですからね、柚美は」
「・・・みたいですね」
「じゃあ僕はもう寝ますね。
・・・大丈夫ですかリビングでも」
「気にしないでください。
では、おやすみなさい」
「おやすみなさい」


