☆安海side☆
俺と遊んで疲れたのか、柚美の双子の妹たちはすぐに寝てしまった。
フユくんは真面目で、受験勉強だからって部屋へ行ってしまった。
「騒がしいでしょ。すいませんね」
「いえ、お気になさらず」
優しい笑みを見せるのは、長男のハルさん。
突然現れた俺に驚きや動揺は見せない、冷静な人だ。
クラスの奴らもこれぐらい静かなら良いんだけどな。
「そういえば、僕思ったんですけど」
「何をですか?」
「桜田くんと柚美、カレカノじゃないでしょ」
「!?」
「図星かな?」
「よ・・・よくわかりましたね」
「桜田くんが柚美の彼氏だと言った時に、柚美がひどく驚いた顔をしていたんです。
あの子はすぐに顔に出る子でして。
本当に彼氏だったら、自己紹介の時彼氏だと言っても、彼女は驚かない。
それなのに柚美は驚きましたからね。
嘘のカレカノだなぁと思ったんです」
「ばれるとは思いませんでしたね。
でも、奥本とか言う奴の話は本当です。
由芽さんから頼まれたんです」
「由芽さんは柚美のことを娘のように可愛がってくれる優しい人ですからね。
僕が中学生の時、ひどい風邪を引いたことがあるんです。
柚美は小学生で、家事なんて危ないことは出来ません。
両親は仕事で海外でしたから、頼れる人がいなかったんです。
当時は祖父も一緒に暮らしていましたけど、祖父は家事が出来ない人でして。
そこで僕らを助けたのが由芽さんだったんです。
柚美が泣きながら連絡したそうで。
由芽さんはすぐに飛んできて、溜まっていた全ての家事をしてくれたんです」
「優しいんですね、由芽さん」
優しい人だなとは思っていたけど。
ここまで優しい人とは思わなかったな。


