桜田は歩くペースが速く、すぐに着いた。
ちなみに今桜田は変装しているため、あの地味な瓶底眼鏡をかけ、髪はぼさぼさだ。
私も黒髪ウィッグに大きなダテ眼鏡をかけている。
似合わないかもしれないけど、これが1番落ち着く格好。
「いらっしゃーいって、ユズちゃん!」
「こんにちはー」
「アズミも来たかぁ」
「ん。いつもの2つ」
「りょーかい!」
相変わらずじっちゃんさんは明るくて元気だ。
「私、少しお手洗い行ってきますね」
「おぅ」
奥にあるトイレに入り、用が済んだので出ようとすると。
「そういやアズミ、お前この後どうすんだ?」
「この後?」
じっちゃんさんと桜田が話していた。
「家に帰るのか?
今日帰ってくるんだとよ、お前の親」
「・・・」
「俺に電話してきてよ。
色々言ってたぞ。
アズミは最近どうだとか、まだくだらない歌は歌っているのか、とかな」
・・・え?
くだらない・・・歌?


