「優しくて爽やかで良いと思う。
でも、好きかどうかは・・・わからない」

「じゃあ答えを言うのはやめておけ。
そんな中途半端な気持ちでお答えしても、先輩は喜ばねぇし」



なんだよお答えって。

思わず自分に突っ込む。



「だよね・・・」

「ただあんまり待たせるな」

「うん・・・ありがとう」



その「ありがとう」がなんだか嬉しくて。

俺は眼鏡を外して、ありのままの宮田を見た。

この眼鏡・・・ダテだからさ。



俺は何故か顔を赤くした宮田を見ながら、ふと思いついた。

多分こんなこと・・・許されることではない。

普段は静かで大人しい皇太さんにも怒られるだろう。



でも俺は、宮田に近づいた。

邪魔だとつくづく思う髪を直しながら。



俺が考え付いたこと。

それは芸能界で名を知らない人がいない女優田宮ユズと付き合うこと。

勿論、俺には恋愛感情なんて甘ったるいものは存在しない。

付き合う理由・・・それは自分の、『AZUMI』の評判を上げるため。



こいつのじいちゃんやマネージャーは芸能人と付き合えと言っている。

しかしただの芸能人じゃないだろうな。

名が通った・・・それこそ俺みたいな芸能人と。