☆安海side☆
俺の止める声も聞かず、宮田はラーメン屋から帰ってしまった。
家を知られたくない理由でもあるのだろうか・・・?
俺は再びラーメン屋へ入った。
「じっちゃん。水良いか?」
「おぅ、ゆっくりしていけ。
どーせ親いないんだろ」
「・・・多分ね」
「困った親だなぁお前んちも。
兄貴とか姉貴はどうした?」
「ここんとこ帰ってきてない」
「冷めすぎんだろ。
寂しくねぇのか?」
「別に。もう慣れた」
「慣れることは良いことだがな、慣れすぎちゃあいかんぞ」
「わかっているよ」
「まぁゆっくりしていけ。
藍子(あいこ)も今日は夜勤で遅い。
好きなだけいろ」
「ありがとね」
俺は出された水とライス付ラーメン定食を頼み、それを夕食とした。
ちなみに藍子とは、じっちゃんの奥さん。
藍子さんのことは俺はばっちゃんと呼んでいる。
ばっちゃんは仕事が忙しいけど、いきなり会社を許可なくやめラーメン屋を開業したじっちゃんを理解している。
にしても、どうして宮田は俺の誘いを断った?
珍しい女だな・・・。


