「・・・『AZUMI』、好きなのか?」
「うん、大好き!」
「・・・意外だな」
ふっと桜田は笑う。
前髪が長いせいで、顔は見えないけど。
「宮田って、冷たい女って噂されているじゃねぇか」
「・・・ん、まあね。
確かに否定はしていないよ。
気にしていないしね」
「・・・ふぅん」
「そう言う桜田だって、皆から嫌われてんじゃん。
人気男子ランキング、最下位だよ?」
「宮田だって、彼女にしたい女子ランキング最下位じゃん」
「冷たい女に、誰が投票すると思っているの?」
「確かにそうだな」
水筒にいれたお茶を飲み、話す。
「そういえば、クラスでの印象と随分違くない?」
「俺、誰とも話さねぇのに、どうして印象とか決まってんだよ」
「地味だからでしょ。
人って結構、見た目で判断しちゃうじゃない?」
「宮田も俺のこと見た目で判断していたんだろ?」
「別に。
特に桜田のことなんて考えてなかったから」
「・・・お前、本当に冷てぇな」
「よく言われます」
「ちなみに、俺はいつもこのキャラだから。
変えるつもりもねぇし、愛想良くするつもりもねぇから」
「お好きにどうぞ。
私には関係ありませんからね」
パコンッとお弁当のふたをしめる。


