「でも意外なことに柚美ってモテるんだね」
「ねー。
まさか2人同時に柚美が好きなんて」
「柚美のどこが良いんだかね。
良い子だとは思うけど、冷たいし喜怒哀楽ないし」
「なにせ、冷たい女だもんね」
こいつら・・・知らねぇんだ。
冷たい女が演技のことも、田宮ユズだってことも。
多分柚美の家の事情も知らねぇな。
「襲われないと良いけどね柚美も」
「今いるか見てくるね」
「お願い由布子」
笠野が見に行き、慌てて戻ってくる。
「柚美がいないんだけど・・・」
「え?
先輩と奥本に連れてかれたの?」
「多分・・・。
奥本、たまにあの体育倉庫に女の子を連れて行って襲っているって噂があったんだけど・・・。
多分柚美もそこにいる」
「助けに行こうよ由布子!」
「危険だよ鳴海。
あの2人の会話聞いていたでしょ?
行ったらあたしたちも危険だよ!」
「じゃぁ誰か男子を連れて行こう!
ねぇ!誰か一緒に行って、柚美を助けてくれない!?」
香坂がでかい声を出して言うも、誰も聞く耳を持たない。
「どうして!?」
「一緒に行こうよ!」
香坂に続いて笠野も叫ぶ。