兄弟は乱暴に私から手を離すと、思い切り私の背中を押した。
支えるものが亡くなった私は前のめりになり、思い切り転ぶ。
2人の笑い声が響く。
「無様だねぇ・・・」
「これ以上面白いものはないと思うぞぉ勝也」
「そうだねぇ兄ちゃん」
転んだ拍子にぶつけた鼻を抑えながら、私は振り向き、下からだけど2人を睨む。
「私を、どうするつもり?」
「「こうする」」
2人は綺麗にハモると、私の肩を抑えた。
先輩が抑える間、奥本がワイシャツのボタンに手をかける。
「嫌っ!離して!?」
「それは無理だよ宮田さん」
「大人しくしなくちゃね、ユズ」
「・・・ユズ?」
「知らないの兄ちゃん。
こいつあの女優・田宮ユズだよ?」
「宮田さんが・・・田宮ユズ?」
先輩は私を見つめた後、ふっと笑う。
「化けるもんだなぁ」
失礼な!