『ハァ……ッ……お父さん………』
必死に息を整えて、声を振り絞った
お父さんはいつもと変わらない笑顔で頭を撫でてくれた
その瞬間、目から涙が出た
なんで涙が出るのかは自分でも分からない
お父さんと俺はウノ川の土手に向かった
この場所は二人の思い出の場所
そこへ向かう間、一切“あの話”に触れる事はなく……
くだらない話しをしながら向かった
だけど俺は涙を堪えていた
二人の思い出の場所に行く事がどうゆう事か
お父さんが校門で待っていたその意味に……俺はもう気付いていたから
痛い程気付いていたから
俺の知ってるお父さんなら、優しい優しいお父さんならきっとこう言う
『ユウキはお母さんの側に居てあげてくれ』
オレンジ色の夕焼けがウノ川の水面を照らして眩しい
どうしてこんなにも綺麗なのに、俺には霞んで見えるんだろう
頬を流れる涙が冷たい
涙で……涙で前が見えないよ
『お父さんとお母さんの心は離れてしまったけど、お父さんとユウキの心はどこに居ても繋がってるから』
お父さんはウノ川を見つめながら言った
『……分かんない…分かんないよ………。なんでお父さんが出ていかなきゃいけないの……?』
お父さんは俺をなだめるように、語りかけた
『俺はいつまでもユウキにとってかっこいいお父さんで居たいんだよ』
『……?』
『それに……ユウキは男だからお母さんを守る義務がある』
『………』
『お母さんをよろしく頼む』
胸が張り裂けそうだった
子供扱いされたくないくせに、こんな時でさえ俺には泣く事しか出来ない



