俺はミノルにボールを渡した
リフティングを教えるって言っても…俺自身もあんまり得意じゃないんだよな……
『すぐには難しいからまずはボールに慣れる事から始めよう?』
俺はそう言うと、後退りしてミノルから少し離れた位置に立った
『ボールを地面に置いて俺に向かって蹴ってみて!!』
小さな公園に声が響き渡る
ミノルはベンチから腰を上げ、俺が言った通りボールを蹴った…
が、届く前にボールはゆっくりと止まってしまった
『もう少し強く蹴れる?ボールがどこに行ってもちゃんと受け止めるから!!』
ミノルはさっきより強くボールを蹴った
スピードはゆっくりだったけど…今度は俺の足元に届いた
ミノルはそんな感じで徐々にボールに慣れていった
………………………
……………
………
『ウォーミングアップはこのぐらいでいいかな、次は歩きながらボールを転がしてみる?』
俺はサッカーボールを手に抱えてミノルに近付いた
今日のミノルの体調を考えたらあんまり一気に教えられない
ここで休憩を入れて足でボールを運べるようになったら今日は…………
『ねぇ僕……おもいっきり…本当におもいっきりボールを蹴ってみたい!!』
『え?』
ミノルは俺の手の中にあるサッカーボールを取った
ミノルの顔を見ると同時に視界に入るサッカーボール
そのボールは灰色の空と同化して一瞬消えたかと思う程…………
高く……高く飛んだ
『はは…!ユウキ見た?僕にも出来るんだ……僕のこの足でも高く飛ばせる力がまだ残ってるんだね』
遠くに飛ばされたボールを嬉しそうに見ながらミノルは言った
ミノルが自分の事で目を輝かせたのは初めてで
こんなお前を見れるならもっとサッカーをやらせてあげたいと思った



