ミノルは慣れた感じで、紙と必要な色の色鉛筆を取り出した
カバンを閉じて、それを机代わりにしている
カキカキカキ…
俺はミノルの手元をじーっと見続けた
真っ白だった紙が少しずつ変化していく
ミノルが黙々と描いていたのは……………紛れもない公園の散りゆく桜だった
“それなら僕もこの桜を残してみようかな”
その意味がようやく理解出来た
絵を書き上げたミノルは、『これで僕も残ったよ』そう言って俺に紙を差し出した
『………?』
渡された絵を持ちながら、首を傾げた
そんな俺を見てミノルは一言、言った
『これユウキにあげる』
『え?お、俺に……?』
動揺して声が変になった
『うん、これでもう悲しくないでしょ?』
あ……
俺はミノルの言葉にハッとした
“ユウキは桜が散ると嫌なの?”
“嫌ってゆーか……なんか悲しいかな。あんなに綺麗だったのに”
さっきのやり取りを思い出していた
ミノルは俺が悲しいと言ったから絵に描いて残してくれた
俺は絵なんて貰ったのは初めてで……
ミノルの描いた絵は優しくて、暖かくて
そこには実際の桜よりも、満開の桜よりも、ずっと綺麗な桜が咲いていた
『いいの……?』そう聞くと、
『うん!いいよ、それに僕だって貰ったから…』っと言って、先週あげたサッカーボールのガムを出した



