握り拳にしたカシワギの手は傷だらけで、その全部が古傷だった
カシワギがそっと手を戻して、
『俺は俺だ、だから向こうの世界に居た俺も相当ヤンチャだったらしい』と鼻で笑った
『誰を殴って誰と喧嘩して出来た傷かわかんねーけど、俺はこの世界に来た初日も拳に新しい傷があった』
『…………』
『ここに来る寸前まで暴れてたんだろうな。それが勲章のように思ってたけど傷はいつか治る』
『…うん』
『数日が経って拳に出来たカサブタを見た時、何も分からない自分がいた』
カシワギの目線はずーっと勿忘草の花畑を見つめていた
『それで…気付いたんだね。この世界の事…』
俺がそう言うとカシワギはコクリと頷いた
『俺はダイキには言わなかった。だけどあいつもだんだん勘づいてきたんだろうな、それで……ダイキはこれを見つけた』
“これ”
それはもちろん今俺達の目に映ってる勿忘草の花畑
リーダーの妹の最後の写真の場所
リーダーはこれを見て、記憶がなくなってると自覚した
『ダイキが妹を思い出した瞬間、実はその場に俺も居たんだ』
カシワギは大きく息はいて、その時の事を思い出しながら言った
『あの寂しそうな横顔が俺の目に焼き付いて離れなかった』
『カシワギ……』
『あいつも俺と同じでそのカラクリを俺に話そうとはしなかった。妹の事を思い出したダイキは一人でこの世界の事を調べ始めた。』
“まぁ俺はその前からずっと調べいたけど”と続ける
リーダーとカシワギはこの世界を仕組みに気づいていたのに………
お互い別々にこの世界について調べていた、なんで……
『なんで?一緒に協力すればよかったじゃん…』



