「わぁ、有難う! ……あとそれとね? ──君たちのママを僕のお嫁さんにしたいんだけど……許してくれる?」

 どさくさ紛れにそんなお願いをしてみるが、その質問に関しては即座に返事が返って来た。

「それはダメ!!」「メッ!!」
「ええー、ダメー? どうして?」

 そう尋ねてみると、二人は自信満々とばかりに胸を張った。

「ママは僕と結婚するんだから!」「僕とけっこんしゅるのっ!」

 一人の男性と二人の男の子に求婚されているとも知らず、彼女はすやすやと深い眠りについている。
 彼は彼で思いもよらぬライバルの出現に、『参ったな』と困惑していた。

「でも、おじさんだったらいいよ!」「えっ!? ……い、いいよっ!」
「本当? ありがとう」

 笑いを必死でこらえながら彼はポケットの中をまさぐる。そして、頭上にちりばめられた星座を見上げると、子供達もつられて一緒に見上げた。