「お待たせ」

 家の前に大きな車が止まり、運転席の扉から降りてきた彼が後部座席のドアを開けてくれる。彼女の子供達は挨拶もろくにせず、普段乗る事の無い大きなミニバンに我先にと乗り込んでいく。車内には勿論彼の子供達が既に居て、興味深そうに新しい小さな友達を見つめていた。

 彼女は彼の子供達と挨拶を交わすと、彼に促されて助手席へと乗り込んだ。
 背後では彼の子供達によって自分の品評会が始まるんじゃないかと内心ビクビクとしていたが、彼らの視線はどうやら違う所へ向いている様だった。

「わぁー、かわいい!」

 年上のお兄ちゃんとお姉ちゃんに囲まれた子供たちだったが、彼女の心配も余所にすぐに打ち解ける事が出来たようだった。彼女と彼はお互い目を合わせ、ホッと胸を撫で下ろしていた。